スターアニスのように、ピリッと粋でいたい
今もあるか分からないけれど、香港に観光客向けのミニレッスンがバラエティー豊富にあるのを知ったときのことです。 太極拳や、市内ツアー、風水講座などがあったと記憶しています。 英語で行われ、パスポートを見せるだけで、おぼろげですがほとんど無料だったはずです。 参加したレッスンで思い出深いことがありました。
それは、ハリウッド・ロードという骨董品店が並ぶ通りでのことです。 私は、骨董品について学べるミニレッスンを受けに、ある1軒の骨董品店へ。 思った以上に早く到着してしまい、店内の案内された場所で座って待っていると、もう一人やってきて、私の隣に座りました。 20代後半くらいの金髪の男性で、ちょっとぽっちゃりした親しみがある雰囲気。 私は何となく気になって 「あなたも骨董品レッスンを受けるの?」 と聞いたのです。 すると、 「いや、実はね、昨日オーストラリアから転勤で香港にやってきたばかりなんだ。 それで、見て、この封筒。」 と言って、リュックサックからA4サイズの封筒の束を私に見せるのです。
その封筒には、それぞれ時間が書かれてありました。 「何それ?」と私。 すると、想像すらしなかったことを彼が言い始めました。 「この書かれた時間に、封を開けると、次はどこどこに行けって書いてあって、それで今ここにいるんだ! 次は、何とか駅みたいなんだけど。 おかげで、到着したばかりで不慣れなはずの香港をあちこち行けて、楽しんでるよ♪」 とのこと! なんて粋な計らいでしょう!!! オーストラリアで出会った香港出身の友達から、手渡されたと言うのです。
肝心の骨董品のレッスンは、年代ごとのサインの違いを手に取って学べたりなど興味深いものでした。 そして青磁をこよなく愛する国民が、日本人だと言うことも知りました。 理由は、何だと思います? お茶が美しく見えるからだそうです! 青磁の器を見る度に、この旅の出会いを思い出します。 香りは、スターアニス、八角です。
香港の町中を歩くと、頻繁に飛びこんでくる香りです。 スターアニスのように、ピリッと粋でいたいな♪ 旅の思い出・出会いと、アロマ・物のストーリー1話でした。